居住福祉を理解するための用語解説(50音順)
※順次増補していく予定です。
イスタンブール宣言
一 九九六年六月、世界一七一カ国参加のもとに、トルコのイスタンブールで開かれた第二回国達人問居住会議(ハビ夕ットⅡ)において採択された居住の権利宣 言。今日、地球規模で生じているホームレス、難民問題、強制立ち退き、高齢者・児童・女性の居住権侵害や阪神・淡路大震災など被災者の人権および社会権の 侵害を宣言した。
グループホーム
障害をもった人たちが、施設ではなく通常の住宅に近い環境のなかで、少人数で共同生活を営むための場。障害をもつ人の残存能力の活用や、老人佐痴呆の患者 の介葦にも効果があるということから急速に普及した。痴呆老人グループホーム(痴呆対応型共同生活介護)は介蓑保険の対象となる。
ケアハウス
家庭環境や住宅事情のため自宅で生活することが困難な六〇歳以上の高齢者が低額の料金で入所することのできる施設を「軽費老人ホーム」と呼んでいる。法的 には施設であるが、形態や機能は住宅に近い。軽費老人ホームには何種類かあり、そのうち食事・入浴・生活相談・緊急時の対応などの介護サービスが提供する ものを「ケアハウス」という。
国連人間居住会議
人間の居住環境を改善するため国連が主催する国際会議、通称ハビタット。第一回会議は、一九七六年にカナダのバンクーバーで開催され、「人間居住に関する 国際協力計画」を採択した。第二回会議(ハビタットⅡ)は、「すべての人に居住を」と「都市化する世界における持続可能な人間居住」をテーマに、一九九六 年、トルコのイスタンブールで開催され、行動計画が採択された。
コレクティブハウス
共同生活を営む集合住宅。それぞれの住居は独立し、台所・バス・トイレなども備えるが、食堂・共用室などの共用スペースを持つ居住形態。
シックハウス (症候群)
ホルムアルデヒドや揮発性有機化合物を含む住宅建材などから発生する有害な化学物質によるアトビー性皮膚炎などの健康被害。
借地借家法
一九二一年に制定・施行された借地法と借家法が統合されて一九九一年に成立した法律 (一九九二年施行)。借地や借家に関する権利関係を定める。賃借人 (借りる人)の立場は賃貸人 (貸す人) に比べて弱いため、もともとは賃借人を保護するために制定された。たとえば、家主は、家主本人が住むなど正当な 理由がなければ、原則として賃貸契約を解約できないこととなっている。ただし近年では、借地人や借家人の権利はやや弱められる傾向にある。
宅老所
保育所の法定以前の.呼称「託児所」 にヒントを得た高齢者版適所居住施設。一般住宅の活用などにより、健康高齢者や虚弱高齢者からのニーズへの対応を図 ろうとする地域密着型の単天践。市街地や商店術などで空き家や空き商店を再利用し、地域交流の拠点施設としても広がりをみせる。
定期借家権
従来の借地借家法では、契約期間が過ぎても、正当な理由がなければ、家主は契約の更新を拒否することができなかったが、一九九九年に導入された定期借家権 によって、それが可能となった。ただし、家主がこの権利を行使するためには、契約時、その住宅が定期借家である旨が定められていなければならない。賃貸住 宅の供給を増やす目的で導入されたが、長期の居住を意図している借家人には不安が残る。
デイサービス
在宅の要介蓑者のために 「日帰り介護施設 (デイサービスセンター)」 で実施される介護サービスで、入浴・食事・日常生活動作訓練・生活指導・家族介 護者教室などが含まれる。介護保険の給付対象。「ミニデイサービス」 (「デイホーム」 「宅老所」 とも呼ばれる) は、民間による同種のサービス。
特別養護宅人ホーム
身体的または精神的な障害のために常時介護を必要するにもかかわらず、自宅では適切な介護を受けることのできない高齢者(六五歳以上)が入所して、介護を 受ける施設。わが国の施設介護の中心的存在であり、施設数は全国で四五三〇カ所、定員総数は三〇万五一五六人となっている (二〇〇一年三月現在)。介護 保険の給付対象。
ノーマライゼーション
どのような障害があっても特別視せず、あたりまえの人間として普通一般の社会生活に参加するための機会を拡大させ、障害の有無にかかわらず人間が平等に権 利と義務を分に応じて担いあって生きようとする生活原理として、デンマークのバンクー、ミッケルセンが提唱した社会福祉の理念。
被災者生活再建支援法
自然災害の被災者の生活再建を支援するため一九九人年に成立した市民=議員立法。都道府県が拠出して被災者基金をつくり、その運用益と国からの補助によっ て、自然災害で住宅を失った世帯へ、最高一〇〇万円の支援金を支給する。成立にあたっては、作家の小田実氏をはじめとする阪神・淡路大震災の被災者の市民 運動の役割が大きい。
ユニットケア
介菱福祉施設、とくに特別養護老人ホームや老人保健施設などで入居者をひとまとめにして処遇するのではなく、障害程度や自立度に応じていくつかの少人数に 分けてケアをしようとする取り組み。従来の集団処遇方式ではなく、一〇名ぐらいの小グループの入居者に、固定したスタッフが日常生活をともに営むという居 住性 (プライベートとパブリックの空間的分離)を重視したケアの方式をいう。
リバースモゲージ
逆抵当融資のことを意味する。高齢者が所有する不動産を担保とすることで融資を受け、その現金で在宅福祉サービスを購入し、死亡した時点で売却し清算する 金融システム。このシステムを最初に導入したのは武蔵野市。介護保険のなかに制度として組み入れたのは愛知県高浜市が最初である。