2011年5月14日~16日の間で、日本居住福祉学会大会が大阪市立大学高原記念館学友会ホールで行われました。

大会初日は、学会会長である早川和男会長から、今回の大会の趣旨等について説明があり、大会がスタートしました。その後、今回の大会に合わせた特別シンポジウム「韓国の居住福祉政策の展開と実践」が行われました。

まず、世宗大学校都市不動産大学院副教授 金秀顯氏から、「韓国の住宅施策と居住福祉政策」について、(株)ナヌムハウジング・社会的企業トゥコビハウジング代表理事 南喆寬氏からは「民間支援団体による居住福祉実践報告」について報告がありました。報告後は、学会会長早川和男氏、副会長野口定久氏、事務局長全泓奎氏も加わり、研究者・行政・企業の多角的な視点で、日本、韓国の「居住福祉施策」について深い討論がなされました。

午後からは、特別シンポジウム「居住福祉産業円卓会議」が行われました。住宅産業再生フォーラム主幹 鈴木静雄氏(株式会社リブラン取締役会長)から、円卓会議の趣旨説明がなされた後、居住福祉産業へ転換後の具体的経営、事業、商品、サービスについて、民間企業を中心に7社から先行事例発表が行われました。大会1日目を終えて、高原記念館学友会ホールを会場に懇親会が行われ、参加者同士の意見交換が行われました。

大会二日目、午前中には、2011年度居住福祉学会総会と同時に、「居住福祉資源認定証及び学会賞授与式が行われました。今年度の居住福祉資源認定証には、在日韓国朝鮮人集落ウトロの強制立ち退きに対して、居住の権利の実現に取り組み、韓国政府を動かしながら新しいまちづくりを前進させた「ウトロを守る会」、医療・介護・看護という地域医療の拠点とともに、在宅でも病院でもない最期の時を家族と迎える住空間を創設した「医療法人社団 ナラティブホーム」の2団体が選出されました。

また、日本居住福祉学会賞には、「生活資本」という概念の提起や、「ホームレス」は生活資本を失う事例であることなどの実証的な解明が高く評価された中京大学教授 岡本祥浩氏が受賞されました。

午後からは、5題の研究発表と共に、東日本大震災をうけ、特別セッションとして、弁護士熊野勝之氏による問題提起「居住の権利は震災を人災に転化しないインフラである」が行われ、熊野氏の発表の後、リレートークで会場から震災についての実経験を踏まえたコメントや、これから何をすべきか、何ができるのかについて、熱い議論がなされました。大会三日目は、現地視察として、解放同盟浅香支部・人権のまちづくりのすみよし南市民交流センターを拠点に、フィールドワークが行われ、3日間に及ぶ大会が終了しました。本大会は、さまざまな方々の協力の元に、大会参加者、延べ100名を超える方々の参加があり、大盛況に終わりました。

大会に関わっていただいた方々に、心より感謝申し上げます。

居住福祉学会事務局次長 黒木 宏一