阪神淡路大震災の借り上げ復興住宅問題の現地研修会5月26日に
借り上げ復興住宅問題に関する現地研修会(2018年5月26日)のお知らせ
ウトロの例がそうであったように、「強制立退き」は、居住福祉上のもっとも深刻な事態です。ところが、目下、阪神淡路大震災(1995年)の際の借り上げ復興住宅について、そうした問題が起きています。自治体によっては(例えば、神戸市、西宮市)、入居してから20年経ったからと言って、借地借家法のバックボーンとも言える「正当事由」要件などを問題とせずに、高齢化した被災者に対して、次々立退き訴訟が提起されているのです。
当日はその現場を視察し、さらにシンポジウムを通じて、そうした請求の可否を各自考えてみて下さい。論点は、第1に、事前に「定期借家」である旨の通知がなされていないのに、公営住宅法上できるのか? 第2に、「定期借家」(「正当事由」要件を問題にせずに、期間が来たら有無を言わせず居住者を追い出す制度)の導入が、物議を醸すのは、1990年代で終わりです。それ以前に高齢被災者にそれを持ち出して良いのか?などなど。
(スケジュール)
(1)2018年5月26日正午 JR三宮駅にて集合。
キャナルタウンウェスト訪問(西宮北口シティハイツの可能性もある)
(2)同日2時から4時過ぎまで TKP神戸三宮カンファレンスセンターにてシンポジウム。
① 吉田維一弁護士「これまでの紛争の経緯」
② 市川英恵氏「復興借り上げ住宅の被災者たち(実態報告)」
③ 吉田邦彦氏(本学会理事/北大法・教授)「民法(借地借家法)からの考察」
④ 水野吉章氏(本学会員/関大法・准教授)「公営住宅法からの考察」
(参考文献)
市川英恵・「被災者のニーズ」と「居住の権利」(借上復興住宅・問題)(クリエイツかもがわ、2017)、吉田邦彦「復興借り上げ公営住宅にかかる強制立退き問題――弁護士倫理・研究者倫理も踏まえつつ」上石圭一ほか編・(宮澤古稀)現代日本の法過程下巻(信山社、2017)、水野吉章「借上げ公営住宅における入居者の保護について」関大法学論集66巻5=6合併号(2017)、同「借上げ公営住宅(復興借上げ住宅)に関する公営住宅法25条2項の事前通知について」関大法学論集67巻6号(2018)など。
(3)その後懇親会
(主催)借上げ復興住宅弁護団(神戸合同法律事務所(078-371-0171)、(共催)日本居住福祉学会。